ひとの話を聴いている時の自分を意識したことはありますか?
一般的にコミュ力が高いと言われる方は話し上手だと感じますが、聴き上手だなと感じる方とはなかなか出会えません。
「聴く力」というと話の内容を理解する力や、相手の言いたいことを読み取る力のようにも感じます。
確かにそれも大切な要素だとは思うのです。
相手がどんな話をしているのか、どんな気持ちでいるのか、言葉や表情から読み取ることができると話の理解度が上がります。
でも、それよりも大切なのは話し手に心を向けるということ。
心を向けているかどうかは、あるポイントを見ればすぐにわかってしまいます。
今年に入って私は知人の紹介で一人の女性と出会いました。
その方はコンサルタント業などでキャリアを積み、これまでに1000人以上の話を聴いてきたプロフェッショナルの「聴き手」とのこと。
そんなプロの聴き手と話ができることを楽しみに、ワクワクしながら会いにいったのですが、結局その方との時間を早々に切り上げることとなってしまいました。
会話の最中になんとも言えない居心地の悪さを感じたからです。
脚を組んでいるわけでもなく、相槌がないわけでもない。
姿勢良く座り、身体はこちらを向けていらっしゃった。
しかし心がこちらに向いていないことを感じ、言葉が出てこなくなったのです。
私がそう感じたポイントは「表情」と「視線」でした。
終始眉間に皺を寄せた怪訝そうな表情で話を聞き、視線は首元や手元のアクセサリー、服やネイルなどを行ったり来たり。
ご自分が話される時はしっかりとこちらの目を見てニコニコされていましたし、言葉選びもお上手でいわゆる「話し上手」だと感じたのですが、私が話している時は目が合うことがほとんどなく「絶対話聞いてないやん!!!」と心の中で突っ込み、一気に心のシャッターを下ろしてしまったのです。
心のシャッターが降りてしまったら、そこから先はもう私も相手の話を聞いていませんでした笑
その方はもちろん悪気があったわけではないでしょうし、私の話が退屈だったせいかもしれません。
でも、相手の表情と視線で心がこちらに向いていないことを感じると、その時間が無意味なように思えてしまったのです。
話し手が心を開くか否かは、聴き手次第。
姿勢、態度と同じくらい表情と視線は大切です。
話の内容に沿わない表情は相手を不安にさせ、浮遊するような視線は相手の話す気持ちを削いでしまいます。
さて、あなたの周りで似たようなことが起こっていませんか?
少し遡って考えてみてください。
最近こどもが自ら話してくれないと悩むあなた。
何か話したそうにしている時にきちんと心を向けてあげましたか?
最近夫婦の会話が急に減ったと悩むあなた。
パートナーが一生懸命話している時に、きちんと心を向けて聴く努力をしていましたか?
急だと感じているのはあなただけで、本当はもっと前からSOSのサインが出ていたのかもしれません。
最近部下が指示通りに動かないと悩むあなた。
部下の話を無意識に流してしまってはいませんか?
ひとは自分に心を向けてくれる相手に話をしたくなります。
そしてそこに信頼関係が生まれ、相手を想う気持ちが生まれます。
信頼している上司からの指示や指導は、きちんと受けたい、応えたいと思うようになるのです。
部下の心を掴みたい、信頼関係を築きたいと考えるなら、実績や武勇伝を語るより先に「聴く力」を身につけてください。
自分の姿を客観的に捉えて、話を聴いている時の自分が相手にどんな印象を与えているか意識をしてみるのです。
相手に心を向けるということを意識すれば、あなたの印象はきっと変わります。
自分が変われば相手もきっと変わるはずですよ!!