接客業に携わっていると、時にお客様のご要望にお応えするのが難しいこともあります。
お断りの言葉は言いにくいし…
かと言ってお応えすると自分の首を絞めることになる…
みなさんもそんな経験はありませんか?!
先日、こんな出来事がありました。
ドライブ好きの私は、旅先で道の駅に立ち寄ることも大好きなのですが、中でも先日訪れた『道の駅ようか但馬蔵』は私のお気に入りベスト3に入る道の駅です。
その理由が…
兵庫県北部の養父市にある朝倉地域は、言わずと知れた山椒の名産地で『朝倉山椒』と言えば山椒好きにとっては宝石のような価値のある粒なのです!!
道の駅ようか但馬蔵にはなんと山椒ソフトクリームというとんでもなく魅力的なスイーツがあり、3年ほど前に初めてその美味しさに触れてから、もう一度食べたい!と想いを馳せておりました。
そしてこの度、念願叶って人生2度目の山椒ソフトクリームに辿りついたというわけなのです。
私はとにかく山椒で舌がヒリヒリする刺激が大好きなので、できるだけヒリヒリ感を味わいたいということで、小銭を握りしめて店員さんにこう聞いてみました。
「山椒増量ってできますか?」と。
店員さんのお答えはこうでした。
「規定の量が決まっておりますので…」
「ですよね!」と私が言う前に店員さんはこう続けたのです。
「気持ちだけ足させていただきますね!」と
その言葉で私は嬉しくなり弾む声で「ありがとうございます!!!」とお伝えし、山椒ソフトクリームを存分に堪能して上機嫌で帰路につきました。
実はこのエピソードの全貌は3年前に遡るのです。
以前ここを訪れた時、店員さんと私の間でこんなやりとりがありました。
山椒ソフトクリームを初めて手にした私、その時の店員さんと山椒好きということから話が盛り上がり、こう尋ねてみたのです。
「50円プラスで山椒増量とかってメニューできないですかね?」
もちろん冗談でお聞きしたのですが、その時の店員さんはこう答えてくれました。
「山椒はソフトクリームを抽出する際にその都度加えているので、できると思いますよ!次回ぜひ言ってください!!」と。
その時の話で、物理的に山椒の量を調整することが可能だと知った私は、今回の店員さんにあのような質問をしたというわけです。
でも、それは3年も前の話です。
その時にはなかった規定量が今は決められているのかもしれません。
当時の店員さんのリップサービスもあったと思います。
いずれにせよ今回の店員さんにも丁寧に対応していただき感謝感激!
私はいつも、自分がお客の立場の時に気をつけていることがあります。
それは、1人の店員さんのサービスを別の方には求めないことです。
特に馴染みの店などでは、馴染みの店員さんができ、上手におもてなしをしてくださる方もいたりします。
でもそれはあくまでもその方の技量。
プラスアルファの心遣いをしていただくことは「あたりまえ」ではなくあくまでも「サービス」だということです。
残念ながら人は慣れると相手の気持ちに鈍感になり、厚意やおもてなしの心を感じとる感覚が麻痺してしまうことがあります。
以前勤めていたディーラーでも時々そんな出来事がありました。
お客様からのお願い事を聞き入れられない旨をお伝えするスタッフに
「〇〇さんはしてくれるのに…」とおっしゃる方がいらっしゃったのです。
それを言われた、とりわけ若く経験も浅いスタッフは、会社のルールとお客様のご要望との間で板挟みになり、何度も相談をされたことがあります。
経験を積むといわゆる上手な返し方も身についてくるのですが、経験値が浅いスタッフは頭を悩ませることもあったようです。
こういうやりとりを間近で見ていた時に「自分がお客の立場の時にはプラスアルファを当たり前だと思わないように気をつけよう!」と心に誓ったのです。
加えてもう1点。
別の方がサービスをしてもらっている姿を目撃したとしても、自分にもそのサービスが当然向けられると勘違いしてはいけないと。
立場が変わればサービスが変わることもあるわけで、その方と対応者との関係性、またお店との関係性や諸々の事情など、自分と同じとは限らないからです。
もちろんこれは自分がお客の立場の時の話であって、サービスを提供する側の立場の時はまた別の考えがあります。
その場にいるお客様全員に気を配り、様子を見てサービスを提供するのが、受け取るお客様にとっても、また周りのお客様にとっても心地の良いものになるのは言うまでもありません。
どんな立場であっても想像力を働かせてひとに丁寧に接するということを忘れずにいたいものです。
さて、このブログを読んでいただいた山椒好きのみなさまにお願いです。
道の駅ようか但馬蔵へ立ち寄った際には是非山椒ソフトクリームをご賞味くださいませ!
山椒の清涼感漂う爽やかな味に感動すること間違いなしです!!
でも、店員さんにこんなことを言うのはやめてくださいね。
「してもらったってネットに書いてる人がいたので山椒増量してください!!」って。
冒頭の話に出てきた店員さんの返答は完璧だったのです。
「気持ちだけ足しときますね!」
増量していただいたのは「山椒」ではなく「気持ち」だということなんですよ!!