木々が色づき始めいよいよ秋本番となりましたね。
寒暖差に少々振り回されながらも大好きな秋を愉しんでおります。
今年の夏は旅行できなかったこともあり、先日秋旅行を満喫してまいりました。
旅先は栃木県の那須高原。
数年前から行ってみたいと思いながらも、未だかつて足を踏み入れたことがない場所でした。
早速ですが、今回お世話になったお宿をこのブログでご紹介したいと思います。
私が宿泊した『Onsen Ryokan 山喜』さんは那須温泉郷の西方、板室温泉郷と呼ばれる地域にありました。
那珂川沿いに建つ全8室の小さなお宿。
今回の旅は夏から計画を立てており、8月の末にはすでにこのお宿に予約を入れておりました。
ここを選んだ1番のポイントは、ずばり口コミです!
私の宿探しはほとんど『一休』を頼りにするのですが、その中でも宿泊した方の口コミはかなり参考にしています。
人それぞれ感じ方が違うので、口コミでは様々な意見があって当然です。
しかしこのお宿に対する口コミは、ほとんどが好意的なものでした。
そしてその褒めポイントが、なんとなく自分のフィーリングと合うような気がしたのです。
高級宿には期待値が上がりすぎてしまい、ちょっとしたことでも残念に感じることがあります。
他の方の口コミを見ていても、高級宿ほど厳しいご意見が多いようにも感じます。
このお宿は比較的お手頃な金額設定。
その辺りのバランスの良さも、今回魅力を感じたポイントでした。
結論から申し上げると、称賛コメントの意味がよくわかる素敵なお宿でした。
こじんまりとした可愛らしい建物。
エントランスへ向かう階段の脇には温泉が流れており、お風呂への期待が自然と高まります。
チェックインの際に抹茶とお菓子をいただきひと息つくと、清掃が行き届き清潔に保たれた部屋にご案内いただきました。
お宿全体が自然建材の風合いを生かした和モダンなデザインで、落ち着くという言葉がピッタリ!
部屋には温泉の地熱を利用した床暖房が完備されており、足元から部屋全体を暖めてくれていました。
貸切温泉付のプランを選んだのですが、その温泉が本当に素晴らしかった!!
大浴場という言葉が似合わないほどのこじんまりとしたお風呂ですが、部屋数が8室しかないことを考えると貸切でなくともここが人でごった返すことはないだろうという想像がつきます。
源泉掛け流しのまろやかなお湯は少しぬるめの心地良い温度で、いつまでも入っていられるような感覚でした。
長湯に備えて本やベンチが備え付けられているのも、おもてなしの心。
そういった小さな工夫を感じられるのがうれしいポイントです。
食事は地産地消の和食メニュー。
素材を大切にした優しい味付けは、いのちを謹んでいただくという感覚をもたらしてくれました。
そして夕食時にこんなことがありました。
締めのご飯を少なめでお願いしたことをきっかけに、我々がすでに満腹に近いことを察してくださったスタッフの男性。
ご飯を食べ終わった頃に「デザートはお部屋にお持ちしましょうか?」と声をかけてくださったのです。
客側からお願いすれば、それに応えてくださるところはあるとは思うのです。
しかし、その言葉があまりにも自然で、日頃から当たり前のようにひとを気遣う精神をお持ちなんだなと感じました。
我々はお言葉に甘えることにし、ついでに飲みきれなかったワインのボトルも部屋まで運んでいただくことになりました。
部屋に戻ってしばらくすると、夕食時に対応してくださったスタッフの方が、ワインボトルにグラスを添えて、デザートと共に持ってきてくださいました。
さらにすぐに食べないことを察してか、ラップのかかったデザートを丁寧に冷蔵庫の中に収めてくださったのです。
ごく自然にサラリとしてくださることが、とても心地よく感じました。
スタッフの方の読み通り、我々はその後貸切温泉を愉んだあとに1時間以上経ってからデザートをいただきました。
小さなプリンに梨とピンクグレープフルーツが添えられたもの。
梨の微かな塩味から、ひと手間を惜しまない精神を感じとりました。
一人一人が自分にできることをきちんとする。
そしてスタッフ全員が日頃から人を想う心を持っている。
そういう意識が伝わって参りました。
自分の悪い癖だなとは思うのですが、高級宿と言われるところにはそれだけ期待値も高くなり、知らず知らずのうちに減点方式で見てしまうところがあります。
細やかなサービスをしてくださっていても、実際には気づかずに過ごしていることもあるかもしれません。
逆に今回のこのお宿は、全てが期待値以上でプラス加算されていきました。
コスパが良いとはまさにこういうことなんですよね。
部屋も食事も温泉も、さらにはスタッフの方も、全てが品の良い素朴さをベースに成り立っている。
細やかな心遣いが常にプラスに加算されていく金額設定こそが、まさにこの宿最大のおもてなしなのかもしれません。
『Onsen Ryokan 山喜』さん。
また訪れた時には「ただいま」と言いたくなるような、あたたかくて素敵なお宿でしたよ。