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通い続けたあたたかい食堂

みなさまこんにちは!

今シーズンは久々に花粉症の症状に悩まされており、外出を控えたくなっております。

自粛しろということなのでしょうか…

さて、今回のおもてなし旅日記では、旅行ではなく日常的に感じていた「おもてなしの心」について書きたいと思います。

私は昨年まで、北欧の自動車メーカーのショールームに勤務していたのですが、その勤務先は兵庫県の神戸市に所在していました。

毎日やってくる1時間のお昼休み。

会社員としては、移動時間が短くて済む職場近くの飲食店というのはとてもありがたい場所となります。

私のかつての職場近くにも、とてもありがたいお店がありました。

『まるきん食堂』という名のそのお店は、韓国料理やボリューム満点の唐揚げ定食が人気で、お昼の時間帯にはいつも満員になっていました。

私のお気に入りメニューは、夏は冷麺、冬はテールスープ。

近くて美味しいという理由で時々行っていたその食堂に、ある時から違う目的で通うようになったのです。

そのお店は、明るくて元気なママさんが切り盛りされていて、近所の方もよく出入りされているようなアットホームな雰囲気でした。

お客様が帰る際には、いつもママさんが「あめちゃん持っていって!」と声をかけ、出入り口に置いてある飴玉を大人がもらって帰るというそんな微笑ましい光景が日常的に見られる場所でした。

常連さんが多いそのお店で、時々やってくる私は、ママさんにとっては大勢いる客人の中の一人であったはずなのです。

ある時期私が、仕事のことや人間関係のこと、また将来に対する不安などでひどく悩んでいる時がありました。

接客業ということもあり、職場にいるときはもちろん常に笑顔でいることを心がけていましたし、周りのひとにはあまり悩みを話したりせず、割と一人で抱え込んでしまうタイプだったため、自分自身では気づかないうちに心が重たくなっていたようでした。

私はその日何気なく『まるきん食堂』に向かいました。

お昼時のピークを過ぎていたということもあり珍しく空いていた店内。

ママさんは1席だけある奥のテーブル席に案内してくれたのです。

その席は入り口からは見えづらくなっており、そこに座った途端、なんだかどっと緊張が抜けたような気がしたのを今でも覚えています。

いつも通り食事をして大きく息を吐き出したとき、入り口に置いてある飴玉の入ったカゴを持ったママさんが近づいてきて、私にこう言いました。

「今日は特別2つ持っていき!」と。

その言葉を聞いてママさんの顔を見た瞬間、私の張り詰めていた糸がプツリと切れて思わず涙がこぼれてしまいました。

そんな私を見たママさんは「しんどいのは心?身体?」とただそれだけ質問してきました。

まさかいつも通っている食堂で、ママさんに話を聞いてもらうことになるとは思っていませんでしたが、この時からこの場所は、私にとってとても特別な場所になったのです。

ママさんのあたたかい心に触れてから『まるきん食堂』にひとが集まる理由がよくわかりました。

常連さんにも一元さんにも、また宅配便のスタッフの方やお店に出入りする業者の方にも、いつも分け隔てなく笑顔で接して「あめちゃん持っていって!」と声をかけるママさん流のおもてなしの心が、ひとを惹きつけているということは言うまでもありません。

会社を退職し起業するという報告をした時、何年も前から考えていたことを知っていたママさんは、とても喜んでくれて、心強い言葉で背中を押してくれました。

「心やで!心を大切にしてたら絶対大丈夫!!」とは、ママさんの口癖。

その言葉通り、これからもっともっとひとの心に寄り添えるコーチとして生きていきたいと、改めて強く思う今日この頃です。

 

 

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