自分を客観視することは成長にとても大切なことです。
これは、ひとからどうみられているかを気にするのとは異なり、自分の目を意識する習慣を身につけるということです。
つまり、ひとが見ているからや、ひとから批判されたくないからこうしようとかいうわけではなく、自分自身のありたい姿を思い描き、現在の自分とのギャップを自分で評価するというイメージです。
先日とある研修でこんなことがありました。
コミュニケーションの研修の中で、2分間程度の短いスピーチをしていただき、その様子を撮影して受講者自身に見ていただくという内容を行った時のことです。
受講者の中には、自分が話している姿を見るのが恥ずかしいと言う方もいらっしゃいました。
動画を撮り慣れている方や、人前で話す仕事をしている人でない限り、このような意見は時々出てきます。
見終わった後に感想を聞くと、受講者の男性が驚いたようにこんな風に話されました。
「僕、こんな感じだったんですか?!」と。
予想外の大きな反応にこちらも少々驚き、ご本人が言う「こんな感じ」がどんな感じなのか詳しく聞いてみることにしました。
「こんなチャラチャラした学生みたいな感じだったなんて、僕、ショックです!!」と。
その場にいた参加者からは笑いも起きましたが、ご本人はいたって真剣。
とにかく「僕、ショックです!!」を、何度も繰り返していらっしゃいました。
参加者の中で最年少のこの男性は社会人1年目。
学生のような雰囲気が残っていても不思議ではないのですが、ご本人は相当ショックだったようです。
この出来事はこの方にとっても、この企業にとっても大きな収穫となりました。
この方が自分の話し方や態度の癖を見つけて改善したいと感じたのは、自分を客観視することができたからです。
人は自分のことはなかなかわからないものです。
それゆえ成長ポイントを見つけることも難しくなってしまいます。
しかし、自分を客観視することができると成長ポイントが見えてくるので、あとはそのギャップを埋める行動をすれば良いだけなのです。
この出来事があった1ヶ月後の研修で、この男性は話し手に視線を向けて聴くことが多くなり、ご自分が話す時も声に気持ちが込められているのを感じました。
また、以前はご自身の失敗談や改善ポイントを話されることが多かったのですが、この日を境に、お客様からお褒めの言葉をいただいたことや、成長を実感したエピソードなどを積極的に話してくださるようになりました。
研修を受けていただいた意味があったと強く感じる瞬間です。
自分自身を客観視する。
この方は動画の撮影がきっかけでその感覚を掴めたのかもしれません。
社内の研修などでもぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。