1年以上前のことですが、記憶に残る感動的なレストランに出会えましたのでご紹介したいと思います。
神戸の中心地三宮駅から北へ向かうと北野という町に出ます。
この辺りは異人館と呼ばれる外国人が居住していた旧邸を残した、クラシカルで西洋風の街並みが特徴的なエリアです。
その北野の町に溶け込む一軒家レストラン『ラ メゾン ドゥ グラシアニ 神戸北野』が今回のお話の舞台です。
歴史と存在感がある美しい西洋風の建物。
外観からしてワクワクさせてくれる、そんなレストランでした。
建物が立派であればあるほど、中で働く人への期待値が高まってしまいます。
「こんな立派なお店なのだから、きっと素晴らしいサービスをしてくれるに違いない!」と脳が勝手に期待をしてしまうのです。
その分、期待が外れた時のガッカリ度も大きくなる。
宿やレストランの口コミを見ていても、高級と呼ばれるところほど辛口コメントが見えたりもします。
期待値のハードルが高くなっているんでしょうね。
さて、ランチタイムのオープンと同時に到着すると、スタッフの方々に丁寧にお出迎えしていただいた記憶があります。
お出迎えは第一印象を決める大切なポイントです。
受け入れてくださる気持ちを感じられると、嬉しくなりますよね。
席に案内していただいた時に、歴史のある建物をきちんと手入れをしながら守り続けているという印象を受けました。
歴史のある建物が古いと捉えられるか趣と捉えられるかは紙一重です。
それはきっときちんと目を配ってお手入れをしなければ趣にはならないのだと思うのです。
こういうところにも、オーナーの方の心が現れます。
物を大切にする方は、ひとを大切にする方が多いからです。
そして、スタッフの方々からは美意識を感じました。
身だしなみはもちろん流れるような所作も、皆さんとても美しい方ばかりでした。
清潔感のある身だしなみは、見ていて本当に気持ちの良いものです。
接客業では特に、個人個人のメイクや髪型、指先のお手入れ、またニオイなどもお店全体の印象に関わる大切なポイントとなります。
個人的には制服の使用感なども印象を左右すると思っています。
飲食店に限らずですが、クリーニングをしても抜けないニオイやくすみが見られるときは、制服もやはり替え時ではないかと思うのです。
現場のスタッフはなかなか言い出せないこともあるかと思います。
そういうポイントは、ぜひリーダー的存在の方がきちんと見極めてあげて下さいね!
話が少しそれてしまいましたが、とにかくこちらでお見かけしたスタッフの方々は皆清潔感があり、またプロの美意識を感じられました。
一人一人の身だしなみ、出立ち、振る舞いなどはもちろんのこと、お料理の説明やちょっとした雑談などに至るまでバランスが完璧で、心地よい空間をスタッフ全員で作り上げている。
客人の前に現れるスタッフだけではなく、お顔の見えないシェフやパティシエの方々も含めての一体感を感じました。
ここまでの心地よさはなかなか感じることができません。
例えるならまるでオーケストラのよう。
全員が同じ方向を向き心をひとつにしている。
その心はお料理にも現れているようでした。
丁寧に作られた芸術作品は五感を全て使って愉しめる、そんな印象でした。
液体窒素を使ったライブ形式で作り上げられるシャーベットなど、クラシカルな建物の中に新しいものを取り入れる工夫にも感動いたしました。
各々がプロ意識を持って自分の仕事をやり遂げる。
そういうチームこそが素晴らしいハーモニーを作り上げることができるんだと思います。
美味しいお料理と心地よい時間を提供してくださった『ラ メゾン ドゥ グラシアニ 神戸北野』の皆様に、改めて盛大な拍手をお送りしたいと思います!!!!!!